研究所長インタビュー
石膏に秘められた技術と未来:技術研究所 渡辺卓也所長に聞く
トップメーカーの技術力を支え、さらなる新市場の開拓を目指す PHOTO:渡辺卓也
渡辺卓也(わたなべ・たくや)
取締役 技術研究所長
1967年入社 工学部応用化学科卒業
入社後、技術研究所勤務の後、30年にわたり製造現場の仕事に従事。北九州、千葉第二などの工場長を経て、01年より現職。
趣味は「庭いじり」。考え事をしながら手を動かすのがストレス解消法という。
技術研究所 総合性能試験センター 吉野石膏の研究開発体制:素材寄りの研究と商品寄りの開発の融合
当社の研究開発機関には「技術研究所」と「商品開発部」の2部門があります。技術研究所は、素材そのものにさまざまな機能や特性を持たせるための研究開発を行っているのに対し、商品開発部ではすでに完成している製品の機能を、耐火・遮音・耐力の面などでより効果的に発揮させるための工法や構造の開発を行っています。
たとえば技術研究所で行っているのは、石膏ボードに新しい素材を加えて新機能を持たせる研究や、素材ごとの強度の試験といった業務です。一方、商品開発部では、実際の製品からなる構造体を性能試験センターに設置して機能試験を行うなどの業務を行っています。技術研究所のスタッフは現在28名、商品開発部は17名。決して多いとはいえませんが、このスタッフたちがトップレベルの開発力を支えているのです。
両部門の間では、定期的に会議を開催し、それぞれが取り組んでいる研究や業務に関する情報交換を行ったり、要望を出し合って連携をとっています。素材寄りの研究力と、商品寄りの開発力、この両面がうまく噛み合って開発が進められていきます。 PHOTO:渡辺卓也
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今後の方向性:健康と環境、そして新市場の開拓 タイガーハイクリンボードの効果
現在、研究開発で目指していることは主に3点あります。
ひとつは、健康に配慮した建材の開発です。当社では室内有害物質であるホルムアルデヒドなどを吸着する機能性建材「ハイクリンボード」をすでに商品化していますが、この研究をさらに進めて、トルエンやキシレンなど、他の有害物質についても対応できるような新しい建材の研究を行っています。
天井部の石膏ボード
天井部にも石膏ボードの
用途開発は進んでいる。
次に、建設廃材から発生する廃石膏ボードのリサイクルがあります。現在、建築時の余り廃材については回収・再製品化するシステムを実現していますが、解体時に出る廃材は接着剤やクロスなど夾雑物が混じっているため、同じ方式ではリサイクルできません。しかし、建設廃材のリサイクルは社会的にも意義の大きい事業であり、トップシェアメーカーとして取り組むべき課題だと考えています。
3つ目が、石膏ボード製品を現在の「内装下地材」から脱皮させ、幅広い用途に使えるようにすることです。石膏は水に弱いため、外装には使われていませんが、今後の研究開発によって外壁にも使える製品を実現することが目標です。そのためにまず、第一段階として、内装表面材や準外部材として充分使えるようにする研究を行っていきます。
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PHOTO:渡辺卓也 キャリアパスと人材論:研究者の資質は「没頭できること」、幅広い分野の人材を採用したい
当社では、以前は研究職を「製造現場で指揮をとれる人材を育成するためのステップ」と位置づけて、研究所を経て現場へ出て行くというのが主なキャリアパスでした。しかし、現在では社内でも研究開発の重要性が再認識され、研究職に専念するキャリアプランへと移行しつつあります。もちろん現場での業務経験は研究開発を行う上でも非常に参考になりますから、一度は工場勤務を経験する必要はありますが、その経験をフィードバックして研究開発を行うようにしていきたいと考えています。
求める人材像としては、「仕事に没頭できるタイプ」。研究業務は、すぐに結果が出るものではないので、ねばり強く集中力を持って取り組み続けられる資質が必要です。また、自分の失敗や他人の意見を聞き入れる謙虚さも大切です。
大学での専攻分野では、従来は無機化学・建築系の採用が多かったのですが、今後は有機・高分子化学や、設計・デザインなど、幅広い分野の人材を登用し、研究開発力をさらに向上させていきたいと思っています。
PHOTO:渡辺卓也
研究所の屋上にて
後ろに見えるのが東京工場
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