プロジェクトストーリー タイガーハイクリンボード開発物語 2
試行錯誤の末に完成した機能性ボード ホルムアルデヒド濃度測定器
実験室でのテストと異なり、製品化段階での開発では、実際の製品と同じものを製造し、性能評価を行う。稼働している工場で製造を行うため、ラインの空き状況やテスト日程の調整が必要になる。また、製造設備の考案や手配、設置などの依頼や調整もしなければならない。
普通石膏ボードとの比較データ こうして、実験室レベルでの試作を元にして工場での試作を行い、製造工程を確認するラインテストと、そこで製造した試作品を持ち帰っての性能テストを繰り返す日々が始まった。
性能テストは、2つの方法で行われた。一つは、「チャンバー」という密閉容器に製品を入れ、そこにホルムアルデヒドを混合した空気を流入し、入口と出口の空気中のホルムアルデヒド濃度を測定するという方法だ。この方法は、大学との共同研究によって開発したテスト手法で、製品を入れる前と後の濃度データが明確に比較できる、わかりやすいテストである。ただし、一点だけ問題があるとすれば「あくまで実験レベルのデータである」という部分だ。
そこで安宅たちはもう一つのテストを行った。製品を実際の住宅に設置し、ホルムアルデヒド濃度の変化を定期的に測定したのだ。実際に設置してみると、実験室レベルでのデータと性能が一致しないという現象が起こった。
万全を期して臨んだ試作だったが、納得できる性能と工法はなかなか確立できない。試作してはデータを採取し、修正案を考えてはまた試作する。石膏ボードの種類を変えたり、薬剤の量を調整したり……工場を使った試作回数は、結局3回に及んだ。
そして2000年の春、ようやく新製品が完成した。長く続いた研究開発がようやく結実したのである。
PHOTO:横山 至/安宅 勇二
将来を担う戦略商品として営業準備を開始 新製品は「タイガーハイクリンボード」と名付けられ、販売活動をにらんだ次のフェーズへと移っていった。
まず必要とされたのは、顧客を納得させるための資料や営業ツールづくりだ。プロジェクトでは性能や商品価値を改めて資料にまとめ、営業との話し合いに入った。
「意識したのは、わかりやすく、しかも説得力のあるデータを見せること。一般向けのパンフレットでは、技術資料的な難解なものではなく、誰が見ても一目で効果がわかるような図表を中心に構成する方向で一致しました。また、同時に専門的な知識を持った顧客向けには、より詳細な実験データを含めた資料を用意することにしました」(横山)
プロジェクトメンバーたちは半年あまりをかけてパンフレットや資料を作成し、同時に各地の営業担当者を対象とした説明会を開催した。横山は上層部との交渉を行い、全社の営業がハイクリンボード販売に動く方針をとりつけた。
そして2000年9月、ハイクリンボードが満を持して市場に投入された。

ホルムアルデヒドを化学的に吸収・分解
「タイガーハイクリンボード」のパンフレット
誰が見てもわかりやすく作られた「タイガーハイクリンボード」のパンフレット
左:表紙 右:見開き本文

 

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