商品開発|商品開発の仕事

社会のニーズを読み、
せっこうボードの用途を拡げる付加価値商品を開発

林 幸輝 商品開発部
2007年入社/工学研究科 建築学専攻 修了

私の仕事、苦労と醍醐味

未知の分野に挑戦する新製品開発

商品開発部には、「耐火」、「遮音」、「構造」、「新素材」、「広報」、「試験センター」の6つの業務グループがあり、現在、私は遮音グループに所属しています。遮音グループでは、マンションの住戸間の壁に使用される遮音壁(「A-2000・WⅠ」など)の開発のほか、木造住宅の上の階からの子供が飛び跳ねる音などを抑える遮音床「タイガー遮音フロアシステム」、学校やオフィスビルの天井に使用される吸音ボード(「スクエアトーン・Dプラス」など)の遮音・吸音製品の開発を手掛けています。

せっこうボードは、内装建材の分野では確固たる地位を築いていますが、これは先輩たちの開発努力、営業努力によるものです。これらをさらに改良し、付加価値商品として伸ばしていくことと、これまでせっこうボードを使用していなかった部位や分野に使用される製品を開発し、新たな市場を開拓することが重要です。商品開発部では、営業と連携して市場のニーズを的確に読み、その分野で求められる法規や規格を調査して、商品化の可能性を探り、試作と試験を繰り返しながら新製品を開発しています。多くの開発案件の中には、途中で断念したものも多くありますが、商品化というゴールにたどり着いた時は格別の喜びがあります。

私は商品開発部の中で、いくつかの業務グループを経験しました。その中でせっこうボードの新市場開拓に成功した開発案件に、新素材グループで2012年に開発した「マンションの乾式二重床の制振材」、耐火グループで2013年に開発した「木造耐火建築物の外壁の下地材」があります。この二つでは、社長賞を開発チームの一員としていただいています。

学び、今後の目標

夢は自分が開発した商品でマイホームを建てること

せっこうボードの製品や工法の開発には、さまざまな建材についての知識、施工方法だけでなく、建築基準法や消防法などの関連法規、さらに、耐火や遮音、構造などの試験実施方法など、幅広い専門知識やスキルが必要です。私は、これらの知識を勉強するために一級建築士の資格取得に挑戦することを決意し、上司のあと押しや周囲の協力もあり、入社3年で無事資格を取得し、大きな自信となりました。その後も知識向上のため、電気工事士や測量士などの資格も取得し、知識の幅を広げています。

国産木材の利用が国策で進められており、木造の公共建築物や賃貸住宅などの需要が高まっています。近年、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)については、遮音壁や吸音製品が多く採用され、音環境も高い水準になりましたが、木造では、耐火や耐震対策が重視され、まだ音環境にはあまり目を向けられていません。私たちは木造でも快適な音環境を提供できる製品・工法の確立を目指し、木造向けの遮音壁や吸音製品の開発を進めていきたいと考えています。将来は、自分の手で開発した製品や工法で、マイホームを設計・建築することが私の夢です。

エピソード

せっこうボード需要の大幅拡大につながる、
木造外壁耐火構造の開発

これまでに印象に残る開発案件は、耐火グループで関わった木造耐火建築物の外壁の開発です。私たちは、国策の木材利用促進や、行政の木造住宅密集地域の不燃化推進の動きを受けて、木造耐火建築物の建設需要を見込み、防水性、カビへの抵抗性を備えたせっこうボード「タイガーボード・タイプZ-WR」を外壁の下地材として使用できないか検討しました。それまで木造耐火建築物の外壁下地材には、ALCパネルやケイカル板が使われることが一般的で、せっこうボードは不燃材料だが水に弱いというイメージから使用されていませんでした。

そこで、「タイガーボード・タイプZ-WR」を、雨風や直射日光にさらし、製品の劣化を確認する屋外暴露試験や、総合性能試験センターの実大耐久性試験装置による耐久性試験などを繰り返して、耐候性、耐久性を証明するデータを積み上げていきました。その上で、耐火試験を実施し、外壁の下地材に厚さ21mmの「タイガーボード・タイプZ-WR」を2枚張り合わせた木造外壁耐火構造として「タイガーモエンEX-B1」を商品化することができました。この商品の採用が決まった第1号物件の木造アパートの建築には、設計時の打合せから現場施工まで立ち会うことができました。

せっこうボードは、他の建材に比べて単価が安く、特殊な施工方法を必要としないため、工事費も安くなるなど、大きなメリットがあります。すでに木造耐火建築物では、屋内側の壁や床、天井などの部位では、大量のせっこうボードが使用されており、1つの物件でのせっこうボードの使用量は延べ床面積の約10倍と言われています。それに加えて、これまで使用されていなかった外壁の下地材にもせっこうボードの使用が定着することで、今後の販売拡大が期待されています。そのような製品の開発から建築までの一連の作業に立ち会えたことを誇りに思っています。

1日の仕事の流れ

試験データの分析

千葉第二工場内の総合性能試験センターで行った遮音試験のデータを分析し、遮音性能が上がった原因、下がった原因などを考察します。さらに遮音性能を上げる方法はないか検討し、次の試験体を考えます。

図面作成

遮音試験のための試験体図面をCADで作成。試験体の施工は試験体製作業者が行うため、材料や寸法、ビスの留め付け方法、試験体枠との納まりの処理方法まで細かく指示するなど、細部まで気が抜けません。

ショールーム案内

遮音壁や吸音製品について、お客様への対応。ショールーム内の音響体験室で、実際の遮音壁の遮音性能を体験していただき、その技術について説明します。私たち商品開発部の重要な仕事の一つです。

後輩指導

遮音試験結果について、データの考察や次の試験体にどのように役立てるかを後輩にレクチャー。質問にも丁寧に答えることを心がけており、彼らの一日でも早い成長を願っています。

My Item

「レーザー距離計とカードノギス」試験体製作の立会いでは、距離や寸法を測る機会が多く、手軽に長い距離を測ることができるレーザー距離計と、簡易的にボードの厚さやねじの径を調べることができるカードノギスは手放せません。

思い出の1枚

休日はイベントや観光など、積極的に外に出かけています。写真は、虎ノ門の職場の前に開通した「新虎通り(環状2号線)」の完成時のウォーキングイベントです。開通後は、車でしか通れない道を歩ける貴重なチャンスと思い、抽選に応募して見事に当選しました。

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