株式会社サンユー 様
第四十一回 株式会社サンユー 様
永らく吉野石膏の商品をご愛顧いただいている
お取引先様のお気持ちを“吉野愛”という言葉に
置き換えて、そのお心をお伺いに回る
タイガーくんの“吉野愛”をたずねて。
お仕事への思い、商品への思い・・・。
さて、どんなお話が飛び出すでしょうか!?
企業プロフィール
会社名 : 株式会社サンユー 様
住所 : 東京都新宿区大京町23-3
代表者 : 代表取締役会長兼社長 細野 修身 様
会社設立日:2009年(平成21年)2月1日
事業内容 : 内装仕上工事業、建材販売事業、リニューアル工事業
URL : https://www.3you.co.jp
第41回のお客様は、東京都新宿区にある
株式会社サンユー 代表取締役会長兼社長の細野修身さんです。
御年81歳!業界の大先輩として長くご活躍され、益々お元気な細野社長から
たくさんのエネルギーを頂いて参りました!
<まずは細野社長ご自身のことをお聞きいたします>
細野社長)私の父が武道好きだったものですから、その影響を受けて私も高校時代から武道に勤しむようになりました。本当のことを言うと野球が好きだったのですが、身体が大きくなかったということもあり、友人の誘いもあって柔道部に入り、高校時代は初段をいただくまで精進致しました。
私は本来「いつかは東北の芭蕉の奥の細道を巡ってみよう」などと考えていた文系の嗜好なものですから、意志のままなら大学も文系の学部を選んだのでしょうが、受験の際はこのような家業を営む親の気持ちを忖度し、日本大学理工学部経営工学科・建築専攻の学生となりました。大学では部活探しで見学をしていた際に「カッコいい!」と心を惹かれた空手部に入部致しました。この写真は大学2年の時、まだ空手初段を取る前の3級(茶帯)時代に撮影したものです。理系の学部だったので、ここはいわゆるバチバチの体育会ではなく、神道自然流という拳法の流れを汲んだ、空手と拳法の中間のような流派という少し緩やかな部だったため、練習は毎日ではなく昼休みの1時間を使ったもので、授業が終わった夕方からは自由に楽しく過ごしていた記憶があります。高校時代に柔道で初段をいただき、そして大学でも空手で初段を取りましたので、私は異なる武道で併せて2本の黒帯を持っている、ということになります。他の学生時代の思い出ですが、今ほどお酒には興味が無かったこともあり(笑)、あまり印象的なものはないような気がします。
昭和41年、大学卒業を控え就職をするタイミングがやってきます。うちの父は内装協力会社の会である利友会の会長をしていたこともあり業界の顔利きでして、私の就職に関して気を回したのでしょう、父の口添えもあってまずは大手ゼネコンの内定を頂きます。しかし私は「いずれは三友に戻る日が来るだろう。それも考慮して、まずは設計の勉強しよう」と決め、内定の話をお断りし、20数名程度の規模ながら吉野石膏の工場も設計するような精鋭揃いの設計事務所に勤めることになりました。
当時は、今の方は信じられないでしょうがパソコンはおろか、電卓すらも無い時代でしてね、掛け算割り算は計算尺、足し算引き算はそろばんを使って、悪戦苦闘しながら構造計算を行っていたんです。特に計算尺はデジタルではありませんから近似値を求めて計算をしていたのですが、それでも当時のほとんどの建物がきちんと建ったんですね。丹下健三さんが設計した国立代々木競技場の傍らに室内水泳場がありましてね、ここは当時の設計界の大御所である武藤清さんが手掛けたのですが、日大と東大の大学院の学生で膨大な構造計算のお手伝いをした、という話を覚えています。しかし、本当に綿密な数字を求めなければならない時は、なにせオフコンもろくにない時代なものですから、電電公社(現・NTT)に「科学技術計算サービスDEMOS(公衆向け商用タイムシェアリングサービス)」というサービスがありましてね、複雑な構造計算はそれを使って行っていました。そんな生活を6年ほど過ごしたのち、三友工業(現サンユー)に入社致しました。
入社してほどなく、当時は「これからは不動産の時代だ!」という声が大きい中、地元に精通していることも求められるうえに宅地としても人気が高かったこともあり、当時、軽量下地材を作っていた工場があった神奈川県伊勢原市で不動産の仕事「売り建て」の仕事を始めました。今振り返るとこの仕事が最も自分にとって適していたのではないかと思っています。私は1級建築士なのですが、このいわゆる技術屋が不動産を売る、ということは一見理にかなっていなさそうですが、私なりの解釈では技術に精通しているものが家の専門的な裏付けを理論的に説明することで、お客様の信頼を勝ち取ったのではないか、と推察しております。
<武道は黒帯2本!>
<掛け算割り算は計算尺で>
<サンユーのことを教えてください>
<細野社長が永らくご愛用の電子辞書>
細野社長)サンユーは大手ゼネコンさんからの下請けで内装をやるための下地を組んでいく仕事と、その上に吉野石膏さんのボードを張るボード工事、さらにその上を仕上げる仕事、そして天井や床など、いわゆる内装工事全般とリニューアル工事をやっています。
他にはせっこうボードを始めとする建材を仕入れ、同業の内装工事会社に販売する仕事も行っています。割合で言うとメインの内装60%、建材販売30%、リニューアル10%で、直近の売上高(2024年3月期)は、115億円余りでした。
社員は93名なのですが、この会社の特長でもある「資格を持った社員が多い」ということは特筆できると思います。自分の仕事に関する知識の習得に熱心だということなのですが、1級・2級合わせて建築施工管理技士は60名近くおりますし、一緒にお仕事をしていただいています協力会(サンユー自主管理協力会)の職人さん400名のうち、現場で上級職長として仕事ができる国家資格の登録基幹技能士の資格を持っている方も130人を超えます。この割合の多さは群を抜いているのではないでしょうか。ゼネコンさんとの精算時、「サンユーさんは施工量のわりに職人さんの人工数が他社より少ないね」とよく言われます。時には他社に較べて2倍に近い好数字になることもあるそうで、弊社の生産性の高さは定評がある様です。しかも早かろう悪かろうではなく「質の良さ」も良く褒められます。
私は当社が常日頃掲げているQ(品質)C(コスト)D(納期)S(安全)を徹底して守ることが、最終的には一番大切な「お客様からの信用」、ひいては売り上げにつながるのだと思っています。うちは良い職人さんたちに恵まれているのだなぁ、と日々痛感しておりますので、安全パトロールの徹底はもとより、最重要行事として全国4か所で行う安全大会での現場の方々との直接的なコミュニケーション、さらにはこの7月から職人さんたちへの資格手当てを出したり、職人さんたちが使う道具の支給、また、社保手続きのための経費負担をしたりなど、他社との差別化となる工夫もして、大切な職人さんたちへのケアをしております。
しかし、少子高齢化や構造的な問題もあり、職人さんたちの高齢化や、社員の採用、定着の問題など人の問題が頭から離れることはありません。また2024年問題で就労時間制限もこの業界を直撃致しました。それなりに抱えている仕事量をどうやって消化していくか、どうやって生産性を上げるか、は自分のところだけでは解決方法にたどり着けないなかなかの難問です。当社の売り上げ規模や人の数はピーク時に較べて減ってはしまいましたが、一方で財務体質は非常に健全になっており、これから先は、吉野石膏さんのご指導も受けながら、社員と職人さん達と力を併せて、全室協の仲間の知恵も借りながら成長できたら良いな、と考えております。
<「吉野石膏」についてお聞きします>
細野社長)もう吉野石膏さんは親戚と言いますかね、うちの会社を育てていただいたような感覚です。私は創業者の須藤永次さん(※日本の石膏ボード産業の基礎を築いた・明治17年生まれ・昭和39年没)だけはお会いしたことが無いのですが、二代目の須藤恒雄社長、三代目の永一郎社長、そして今の永作社長と三代にわたってお付き合いを頂いております。
私がこの会社に入社したのは昭和47年、確かその前後に永一郎さんが東京支店長になられたと記憶しています。私はお酒を飲むのが好きなものですからあまり好まれない永一郎さんにお酒を勧めるたびに、当時から横を向いておられたことを覚えています。
全室協を立ち上げた昭和50年あたりですかね、同業者や地方の自治体、建設省(現・国土交通省)などに陳情に向かうなど、吉野さんと一緒に東奔西走した想い出があります。
今までご担当された方も何十人っていらっしゃいますからね。自宅近くの駅前で一杯やるような関係の方もいましたし、一方では宴席の多かった虎ノ門の元・石膏会館にも良く行きましてね、時には偉い方にそのまま銀座に連れていかれるようなこともありました。私がお酒好きになってしまったのは、間違いなく吉野さんのせいですね(笑)。
当社はバブル期には社員300人、売上400億円強まで成長しており、500億円を目指す勢いでした。そのころは経費の増加に不安を覚えつつも、時代の流れの中では大切なことを見落としてしまう事もあったのでしょう、その後、幾多の困難や紆余曲折がありましたが、一緒に支えてくれる職人さんと、そして何よりも常に当社に思いを馳せていただけるお客様もいらっしゃる中で、15年前に吉野石膏さんに株主になっていただきました。恒雄社長から永一郎社長、そして永作社長と、ずっと吉野石膏の経営者の皆様に気にかけていただいたお陰でここまで戻すことができたのだ、と考えております。
うちが扱っている吉野石膏さんの商品はタイガーボードをはじめ、スーパーハードとタイプZを使った耐火遮音壁(A-2000・WⅠ)やソーラトン等が多いですね。吉野石膏さんには、まぁ、ロボットまでは道が遠いでしょうが、生産性が上がるような工法を考えていただきたいです。メーカーさんと我々が一丸となって考えて行かないと簡単には生産性は上がらないでしょう。先ほども申し上げましたが、高齢化、就労時間、採用など全ての問題に一貫して「生産性を上げる」ということは重要ですので、これは是非お願いしたいです。そして商品的には同じく高生産性と安全性につながる「軽くて高性能」のせっこうボードの開発を、引き続きよろしくお願い致します。
<諏訪常務執行役員もご一緒に>
<インタビューを終えて>
「人がいきいきとする居住空間の創造」を掲げる株式会社サンユー様。
奇しくもこの言葉は吉野石膏の須藤永作社長が口にする「生命・財産を災害から守り、安全・安心と健康に配慮した住空間の創造へ」と相通じるものがあります。
「同じ志で、同じ目標に!」
細野社長、これからも益々お元気でご活躍ください。
吉野石膏も全社一丸となって、全力サポートさせていただきます!